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プーチン大統領訪日目前 『どうなる?北方領土』
 今月、ロシアのプーチン大統領が訪日する予定です。今回の訪日では、エネルギー問題や経済協力、長年両国の懸案であり続ける領土問題と平和条約締結に向けた話し合いがされる予定です。

 日本とロシアの関係で、先ず私の頭に浮かぶ言葉は『日露戦争』『北方領土』です。近代以降、領土を拡張することが国益であった時代に、日本とロシアは常に衝突する関係にありました。日露戦争以後はシベリア出兵、ノモンハン事件、そして先の大戦終戦間際の1945年8月に『不可侵条約』の一方的破棄による日本侵攻によって『北方領土』は占領され、現在までロシア(ソ連時代も含む)の実効支配は続いています。

 まず、北方領土に関する日本、ロシア(ソ連)が1956年に公式な宣言書として交わした『日ソ共同宣言』の内容の一部をご覧下さい。(北方対策本部HPから以下一部引用)

日ソ共同宣言
(略)
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で行われたこの交渉の結果、次の合意が成立した。

1  日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の戦争状態は、この宣言が効力を生ずる日に終了し、両国の間に平和及び友好善隣関係が回復される。

(中略)

9 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえ、かつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。
(略)



 この宣言書に書かれていますが、北方領土の返還には『平和条約』の締結が先であるというロシアの立場と、不当に占領された日本の領土なんだから先に北方領土を返すべきだ、という日本の立場がかみ合わず、60年経った現在も領土の返還と平和条約の締結には至っていません。

 ソ連が崩壊し、ロシアに引き継がれたこれらの問題は、ロシアの経済が崩壊し、社会がガタガタになっていた90年代に解決の絶好のチャンスが巡ってきますが、絶望的に違う双方の立場、両国に存在する抜きがたい不信感もあって、経済協力、北方領土への元住民の訪問、周辺海域での漁の解禁など、敵国として対立していた昔に比べれば、随分関係は良くなっていますが、領土返還自体は結局成功しませんでした。

 2000年以降は、一昔前なら考えもつかないことでしたが、自衛隊とロシア軍の軍事交流も始まり、嘗て無いほど両国の関係は良くなっているように見えます。このまま各種交流を深めれば、領土問題も当然解決に向けて前進するのでは?と、思いたいところですが、ロシア政府はプーチン大統領の訪日を前に先制パンチを放ってきました。こちらの記事をご覧下さい(asahi.comから以下引用)

4島主権に法的根拠」/ロシア外務省

 【モスクワ=大野正美】北海道の諸団体でつくる北方領土相互理解促進対話交流使節団が25日から3日間、モスクワを訪問し、ロシア外務省のラティポフ日本部長らと会談した。27日に記者会見した団長の山本邦彦・北海道副知事らによると、会談で同部長は「(北方)4島にロシアが主権を持つことには法的根拠がある。93年の東京宣言にある帰属問題の解決とは、4島へのロシア主権の確認を意味する」との考えを示した。

大統領訪日前に「先手」

 11月のプーチン大統領訪日を前にロシア政府は、領土問題での基本的な立場として、4島のロシア帰属を確認して平和条約を結んだうえで歯舞、色丹2島の日本引き渡しを交渉するという姿勢を強めている。

 これには日本側から、「4島の帰属問題を解決して平和条約を結ぶとうたった東京宣言に反する」との反発が出ている。このため部長の発言には、「帰属問題を解決した結果としての4島のロシア主権確認は東京宣言の趣旨に反しない」との立場を強調する狙いがあると見られる。

 訪問結果について山本副知事らは、「昨年、プーチン大統領が56年の日ソ共同宣言に戻っての2島返還の解決案を出したことで、ロシア国内の領土問題への関心は深まったと感じた」とした。しかし一方で「ロシア側との間にはなお溝が残る」ともし、「ギャップを埋めるため、対話外交を粘り強く進めることが必要」と指摘した。

 交流使節団は北海道道庁・議会のほか、市町村や返還団体関係者らで構成。ロシアへの訪問は今回が14度目で、国連などにも北方領土問題の解決を働きかけてきた。

 

 『北方領土の主権はロシアにある。』その根拠として1993年の東京宣言が挙げられていますが、該当すると思われる箇所を見てみましょう。(北方領土問題対策協会HPから以下一部引用)

日露関係に関する東京宣言

<前略>

2、日本国総理大臣及びロシア連邦大統領は、両国関係における困難な過去の遺産は克服されなければならないとの認識に共有し、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な交渉を行った。双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意する。この関連で、日本国政府及びロシア連邦政府は、ロシア連邦がソ連邦と国家としての継続性を有する同一の国家であり、日本国とソ連邦との間のすべての条約その他の国際約束は日本国とロシア連邦との間で引き続き適用されることを確認する。

 日本国政府及びロシア連邦政府は、また、これまで両国間の平和条約作業部会において建設的な対話が行われ、その成果の一つとして1992年9月に「日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」が日露共同で発表されたことを想起する。

 日本国政府及びロシア連邦政府は、両国間で合意の上策定された枠組みの下で行われてきている前記の諸島に現に居住している住民と日本国の住民との間の相互訪問を一層円滑化することをはじめ、相互理解の増進へ向けた一連の措置を採ることに同意する。<後略>



 どのように読んでみても、北方領土の主権がロシアにあるとは確認できませんね(笑)。これまで、ロシアは先の大戦末期に米国、英国、ソ連の間で結ばれた『ヤルタ協定』で、ソ連の対日参戦の見返りに北方領土を含む千島列島を領有する権利を得たと主張していましたが、先日、米国のブッシュ大統領が『ヤルタ協定は邪悪な協定であった』と発言したことによって、根拠が薄弱になってしまいました。

 このような事情があり、苦しい弁明であることは重々承知の上での『東京宣言』根拠論なんでしょうが、かなり無理があります。主権云々の話では、最初からロシア側が不利ですが、『実効支配60年』という重い現実があることも事実。スムーズに返還される事は難しいと思われます。

 現在、北方領土を返還させる方法として、全島を一気に取り戻す方法や、『日ソ共同宣言』を基礎とした2島先行返還方式『2+2』などが挙げられますが、交渉が難航する事は当然として、政府には粘り強く交渉を続けてもらいたいですが、アジアの覇権を確立しようとする中国の台頭を牽制するためにも、ロシアと友好関係を築き上げ、中国へのカウンターとして存在してもらう事が必要であると考えます。

 領土問題、平和条約締結は最重要課題であることは言うまでもありませんが、お互いに原則論を振り回す事によって、協力関係を築く上での障害になっている事も事実です。現状を打破するためには、元駐日ロシア大使であるアレクサンドル・パノフ氏が著書『雷のち晴れ』の中で『馬車の両輪』と表現されている方法、つまり、領土問題などの最重要課題は交渉を継続する事を原則としながら、一方で経済、軍事、人的交流を活発にし、友好関係を築き上げるという方法を私は支持します。返還交渉が進まないからといって、他の関係まで冷え込ませるのは得策ではないと思います。

 日本とロシアの関係改善には様々な壁が存在します。日露双方の国民が持つ不信感、日露が友好関係を結んでは困る中国、そして米国の思惑が複雑に絡んでおり、日本は困難の道を歩む事になりますが、極東の安全、日本の国益のために、政府にはこの壁を乗り越えて欲しいと願っております。

 さて、今回のエントリーはここで終了として、今後の日本とロシアの関係に関しては、『膨張する中国に対抗せよ』シリーズにて、模索して行きたいと思います。またご訪問ください。



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テーマ:国際問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
同感です
はじめてコメントします。nakaと申します。
日頃からこのブログを拝読し、貴殿のご意見にはいつも感心させられています。
北方四島やロシアとの対処方針は、貴殿のご意見のとおり、中国との関係を最大限考慮して決めるべきであると思います。
今後米中戦争の危機が高まったとき、ロシアが中国への原油供給をストップさせれば、こちらは戦わずして勝てるのではないでしょうか。今の日本外交にとって、ロシアは非常に大事な存在です。
2005/11/04(金) 10:19:53 | URL | naka #-[ 編集]
日本の甘さ
プーチンのやり方はスターリンに似たところがあります。そして中国との連携も強めています。残念ながらロシアは北方領土を返還する気は毛頭ありません。返還を求めるのは結構ですが、そのために甘いものを提示することは全くの無駄であり愚の骨頂だと思います。
2005/11/04(金) 12:00:34 | URL | 日本国民 #-[ 編集]
プーチンさんは日本が大好き
JR東日本のFASTECH(ファステック)360というミッキーマウスのような新幹線を知ってますか??プーチンさんの本音は北方領土なんかいらないから、これをくれといいたい。冬の厳しい気候でも360キロで営業運転できる鉄道なんてないですよ。
KTXがあのざまですからね・・
2005/11/04(金) 13:43:39 | URL | SAKAKI #-[ 編集]
通りすがりですが、なるほどです。

ところで、クロネコヤマト社員が、やってもーてますな(ド・ド・怒)

5億7000万円着服!!

「競馬につぎ込んでいた」って、JRAは嬉しい悲鳴ですな^^;
2005/11/04(金) 16:03:28 | URL | 中国産・韓国産のキムチども、カ #-[ 編集]
コメントありがとうございます
>nakaさん
いつも閲覧頂きありがとうございます。
日本、そして米国もですが、過去の戦争で『敵』を間違う事がありました。その結果として日本の敗戦があり、米国にしてみれば、共産国家の勢力拡大を許してしまいました。

当面、最大の脅威は中国ですし、地政学的に言えば、ロシアを中国から引き離せば、中国は海洋地域に積極的に打って出れなくなり、日米のシーレーン付近での大規模衝突を未然に防ぐ事ができるのではないか?と、思います。

>SAKAKIさん
すみません・・その新幹線の事を知りませんでした。KTXはネタ作りに一度乗りに行こうかなと思ってます。

シベリア鉄道に新幹線ですか・・ものすごく乗ってみたいです(笑)が、あの長距離路線を管理する能力はあるんでしょうか?線路がガタピシになって、そこを360キロの新幹線が爆走する・・おお怖(笑)。それと、中韓のようにゴネまくるなら、やなこったですね。

>日本国民さん
たしかに、プーチン大統領の権力が強くなり、中央集権体制もほぼ完成し、メディア支配にも成功しましたね。それらを眺めてみて、『全体主義』に近づいていることは否定しませんが、ロシアと中国両方を敵に回す事は危険です。

日本にとって、どちらが脅威か?と、考える時、圧倒的に中国が脅威であると私は思ってます。中露はかなり近づいていますが、まだ『一体』ではありません。今のうちに離間させなければ、将来、より大きな敵と戦うことにならないか?と、危惧しています。
このあたりの話は、今後エントリーで書いていくつもりですので、またご意見聞かせてください。




2005/11/04(金) 19:13:07 | URL | 管理人 #hI3IiWgo[ 編集]
ロシア版新幹線計画は、2007年までにモスクワとサンクトペテルブルクを時速250キロの高速列車で結ぶ計画でドイツのシーメンスが受注とのことでした。しかし、それより100キロもスピードが速く、輸送能力が数分に1本で16両の巨大編成が可能かつ寒冷地(雪)に強い FASTECH(ファステック)360の登場はプーチンさんのドギモを抜きましたよ。ICEなんか問題じゃないのです。この技術と北方領土を交換してくれたらいいのですが・・択捉にはレアメタルがあるそうですし・・・
2005/11/04(金) 19:21:45 | URL | SAKAKI #-[ 編集]
失礼しました
>SAKAKIさん
勝手にシベリア鉄道だと勘違いしてました(笑)。しかし、凄い列車ですね。不勉強で知りませんでした。今夜にでも調べてみます。

実利重視のプーチン大統領なら、技術と交換で乗ってくるかもしれませんね。そうなればホントにいいのだけれど。

それにしても、またシーメンスか・・という気持ちです。タイへのODA供与で、日本製のモノレール導入の契約を掻っ攫って行ったのを覚えてます。
2005/11/04(金) 19:32:11 | URL | 管理人 #hI3IiWgo[ 編集]
TBどうもありがとうございました。
中露の接近をストップさせる必要性には同感です。ただし、あまり深入りして「ものほしそう」にすると足元を見られてロシアにいいように扱われる懸念があります。
北方領土は、ロシアが弱り目に祟り目の時でないと返還は困難だと腹をくくるべきだと思います。もちろん、無駄だろうがなんだろうが、国際社会に対して北方領土は日本の固有の領土である旨、主張すべきはし続けないといけませんが…。
戦略の話から離れて、シベリア新幹線が360キロで疾走する様子は、想像するだけで雄大な光景ですね。
2005/11/05(土) 00:39:41 | URL | 猫研究員 #RAa2TALo[ 編集]
>猫研究員さん
コメントありがとうございます。

『あまり深入りして「ものほしそう」にすると足元を見られてロシアにいいように扱われる懸念があります。』
そうですね。その辺の微妙なさじ加減は難しいところだと思います。

シベリアの大地を新型新幹線が走る光景を想像すると、乗りたくって仕様がないです(笑)。
2005/11/05(土) 12:06:13 | URL | 管理人 #hI3IiWgo[ 編集]
突然ですが、トラックバックのご挨拶です。
 勝手ではありますが、「ロシア/北方領土」つながりで、TBを張らせて頂きたいと思います。お気に召さない場合は、たいへんお手数ですが、削除をお願いいたします。よろしければ、お近くへおいでの節は、どうぞ拙宅へもお立ち寄り下さい。
2005/11/17(木) 13:38:47 | URL | 素町人@思案橋 #-[ 編集]
>素町人@思案橋さん

どうぞー。エントリーに関連するTBは大歓迎です。ご丁寧にありがとうございました。
2005/11/17(木) 15:35:05 | URL | 管理人 #hI3IiWgo[ 編集]
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(以下はあくまで榊の個人的崇拝にも似た思い込みです。まぁ妄想と思ってください)★悪の帝国「アメリカ」 ブッシュ大統領は未だに盟友小泉首相のフルネームを覚えていないとの説がありますし、わが憬れのピアニ
2005/11/04(金) 12:51:53 | 20年安泰!日本は復活する。榊雲水雑記帖
領土問題は難しいですよね。榊さんが云う様に、穏健路線で時間が掛かるのでしょうか。確かに歴史上、色々な経緯はありましたが、北方4島は地理的に観て、どう考えても日本に帰属するでしょう。まあしかし、江戸時代以前においては、蝦夷地は、ほっぽっていたのですから、な
2005/11/04(金) 15:24:07 | 徒然エッセイ
 歴史の教科書で必ず取り上げられている事件なので皆様ご承知のことと思いますが、1891年に来日中のロシア帝国のニコライ皇太子に日本の巡査が切りつけた大津事件というのがある。日本国内では「これは戦争になる」というので大騒ぎになった。政府が裁判所に刑法の規定を無
2005/11/05(土) 00:30:12 | 猫研究員の社会観察記
硬直する日露関係 今回も肩が凝るような露大統領訪日。問題の北方四島(歯舞、択捉、色丹、国後)を実効支配しているのはロシアであり、ロシア人が居住している。外交においては、「実効」とか「実質」とか「既成」といった、事実の積み重ねがものを言うことが多く、我が日
2005/11/22(火) 19:47:06 | ブログ界の正論
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