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東シナ海ガス田問題 膨張する中国に対抗せよ

 昨日から北京の釣魚台にて日中外務次官級協議が始まりました。先月の終りに開かれた会合では、東シナ海で一方的にガス田開発を始めた中国側に対して日本側が抗議すると共に、共同開発の道を探る交渉が持たれましたが、中国側は一切の日本側提案を拒否。武力衝突の可能性に言及するなど、譲歩する気配を見せなかった中国に日本はどのように対峙するのか。今月の23日に町村外務大臣が訪中する予定になっており、よりハイレベルな協議が行われるようですが、中国は先手を打つ形で揺さぶりをかけてきました。このニュースをご覧下さい。(TBSニュースから以下引用)


中国外相「靖国解決すればガス田も」

 中国の李肇星外相は15日夜、靖国神社の参拝問題と歴史認識の問題が解決されれば、「東シナ海のガス田開発など日中間の懸案が解決されないはずはない」と述べました。

 これは日中総合政策対話のため北京を訪れている外務省の谷内事務次官との会談で述べたものです。

 中国の李肇星外相は、「日本との間には歴史認識の問題と靖国神社への参拝問題があるが、この問題をうまく解決できれば、東シナ海のガス田開発などそのほかの懸案が解決されないはずはない」と述べ、改めて日本側に問題の解決を促しました。(15日23:52)



 続いてこちらのニュースもあわせてご覧下さい。(中日新聞から以下引用)

日本の常任理入り「理解できる」
中国外相、初の柔軟姿勢


 【北京=白石徹】北京を訪問中の谷内正太郎外務次官は十五日夜、中国の李肇星外相と釣魚台迎賓館で会談した。李外相は日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの問題について「日本が国際社会でより大きな役割を果たしたいという願いを中国は理解できる。互いの理解を深めるために交流と対話を深めたい」と述べた。これまで日本の常任理事国入りに強く反発していた中国政府が、初めて柔軟な姿勢を示したといえる。

 また李外相は「歴史認識と靖国参拝問題をうまく解決できれば、東シナ海の問題も友好的な協議を通じて必ずうまく解決できる」と語り、小泉純一郎首相が靖国神社参拝を見送れば、東シナ海のガス田開発問題が大きく前進するとの認識を初めて示した。

 谷内次官は、李外相との会談に先立ち、日中外務次官があらゆる問題を話し合う「総合政策対話」の第三回協議に臨み、中国外務省の戴秉国筆頭次官と日中関係の改善に向け努力することで一致。同日は対米、対ロ関係など国際情勢について意見交換した。十六日も引き続き協議が開かれる。


 総選挙が自民党の圧勝で幕を閉じ、改革の本丸と位置づけていた郵政民営化法案も衆参両院で通過。国内の懸案は無く、靖国に参拝しない理由がなくなった小泉総理は、秋季例大祭(今月17~20日)の参拝が有力視されています。町村外相の訪中直前ということもあり、中国側が釘を打ってきたという所でしょうか。

 次に、日本の悲願である国連常任理事国入りに対しては、これまでの否定的な態度を軟化させ、『歴史認識で日本が譲歩すれば常任理事国入りの協力をするかもしれない』と、ニンジンをぶら下げてきました。

 靖国参拝に関しては、小泉総理が参拝の意向を固めていることから、例大祭に行けば外相会談は険悪なムードで難航し、会談後に参拝すれば、何らかの合意が外相会談で得られたとしても反故にするつもりなのでしょう。中国はどう転んでも利があるようにカードを切っています。

 ガス田に限って言えば、日本が強硬な手段を打ってこない事を見越し、歴史認識などを盾にとって『時間稼ぎ』をするだけで良く、協議が停滞している隙に次々と開発を進めていることから明らかですが、『既成事実』を作り、実効支配してしまえば『後は何とでもなる』と踏んでいます。この中国の得体の知れない自信は一体どこから来るのでしょうか。

 近年、中国はロシアやインド等、これまで敵対してきた周辺国との関係改善に成功しつつあり、後顧の憂いが薄まった事で積極的に海洋地域に進出する事が可能になりました。急激な経済成長によるエネルギー不足を補うため、ロシア、中央アジア各国の油を確保すると共に、自前の油田、ガス田を持ちたい中国は、膨大な資源が眠っている周辺海域へ進出してくるのは当然と言えます。

 日本は戦後60年間、自由な貿易を追求し、軍事力を背景にした圧力による資源確保はして来ませんでした。前大戦を戦った理由の一つとして、当時の大国がブロック経済に移行した事が挙げられます。日本は資源が無く、頼りの輸入も止まって国家が崩壊する危機に直面し、直轄の資源確保に乗り出す必要に迫られましたが、敗戦から現在まで、アメリカを中心とする自由主義国家との貿易によって、その必要は無くなったかに見えました。

 ソ連が崩壊し、自由主義国家の勝利に終わった冷戦後、永遠と信じた自由貿易は、実際には米国の軍事力によって担保されていたパワーバランスがもたらした恩恵であり、米国に対抗し得る勢力が台頭すれば成立しない幻想であったのです。経済が成長し、豊かになった中国は『遅れてきた帝国主義国家』として武力を背景にした資源確保に乗り出し、これまでの『対話』による交渉だけでは解決しない状況が出現してきました。

 『文明の衝突』という著書で日本でも有名になったサミュエル・ハンチントンは『引き裂かれる世界』という著書で、世界を軍事力、経済力、文化、宗教などを指標とした区分けをしています。『超大国』としてのアメリカ、それに続く『地域大国』として中国、ロシア、インド、EUにおけるドイツ、フランス連合、『地域大国』に対抗する『地域準大国』として中国に対して日本、ロシアにウクライナ、インドにパキスタン、ドイツ、フランス連合に対してイギリスといったものです。

 この中で、『地域準大国』である日本が生きていくためには、『超大国』である米国、あるいは別地域の『地域大国』と連合しなければ中国に対抗できないと書いています。日本と強固な同盟関係にある米国は別として、比較的近い別地域の大国であるインド、ロシアとの現在の関係はどうでしょうか?インドとの関係は悪くないですが、あくまでも経済的な繋がりだけであり、ロシアとは領土問題を抱えており、友好的とは言えない状態です。

 本来、日本が先手を打ってこれらの国との関係を強化するべきなのですが、大挙して中国に進出した企業は、後戻りできないところまでドップリ浸かり、中国の人質状態になっており、政界、マスコミなどは『日中友好』などと念仏のように唱え、中国との関係悪化をひたすら恐れています。こんな現状では周りが見えるはずがありません。

 日本が生きる道は『日中友好』に非ず。日本から南に位置する台湾、フィリピン、インドネシアなどのアジア海洋国家、東南アジア諸国、南アジア地域大国であるインド、超大国の米国に連なるアングロサクソン諸国との連合こそ日本が生きる道であり、南を向く中国の背後をとるロシアとの関係改善が膨張する中国を食い止める道であると考えます。

 次回以降、これらの国との連合の可能性、それを実現する方法などを考えて行きます。大風呂敷を広げてしまって、エントリーを書くのが大変そうですが(笑)、頑張ってみたいと思いますので、またご訪問ください。



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